パインはルキドに真っ向から挑む態度で余計な一言を付け加えた。「俺を怒らせるとは、気がふれたようだな。どの道、金だけ取って逃げ出すような奴は生かして置けないしな。表へ出ろや。」「上等だ。」「パイン、待て。」ガラクーダが慌てて、止めに入ろうとしたが、もうルキドとパインは腰の剣に手を掛けて店を飛び出そうとしている。(馬鹿、ルキドには敵わないだろうが。)「待て、パイン。殺されるぞ。」再度、ガラクーダはパインを制止しようと声を掛けた。「うるせえ、ほっとけ。俺は元々こいつには虫ずが走ってたんだ。」しかし、パインは耳を貸そうとはしない。「関係ないだと。俺も『三途の七人衆』の一人。別にお前等を仲間なんぞとは思ってはいないが、その様子じゃ、ハンベエはやりそこなかったんだろう。七人衆と並び称されてる手前、お前等が尻尾を巻いて逃げるのをオメオメ見逃したんじゃ、"我們知道減肥離不開運動和飲食 看到超模們窈窕身材的時候 表情は申し訳ないような気まずいような、そんな感じに "俺の顔が潰れるんだよ。」ルキドは見下すように顎を少ししゃくった。「だったら、どうしようってんだ。お前の顔なんざ最初から見れたもんじゃ無かろうが。」 」 三人に向けて蛇のような睨みを利かせながら、嘲りの言葉を投げ付ける。だから、何だ。テメエの知った事か。」パインが喚いた。パインは始めから、ルキドを良く思っていない。仲間とは思われたくないと言っていたほどだ。 酒場の客達はざわめいていたが、面白そうに見物を決め込もうとする者と関わりにならぬよう息をこらす者の二種類しかおらず、いずれも騒ぎの渦中に巻き込まれまいとしていた。引きずられるようにして、ガラクーダと名無しのその他一名が店を出て見ると、ルキドとパインは既に剣を抜いて向かい合っていた。両者ともゴロデリア王国の兵士達が標準装備している両刃(もろは)の剣である。パインは剣を右肩上がりにかざすと息せき切って、右に左にと足を運びながら、相手のルキドの隙を窺った。歯を剥き出し、目をギラつかせて息も荒い。獰猛な犬が相手を威嚇する姿に似ている。向き合うルキドは剣の切っ先を膝の高さに置きながら、パインの動きに合わせ体の向きを変えるだけで、落ち着き払って動こうとしない。容貌こそ醜怪であったが、静かに冷笑を浮かべるのみで、息も乱さない。ホウゾインは『あいつは強い』とルキドの事を言い、又つい今しがたもガラクーダが『殺されるぞ』と止めに入ろうとしたが、ルキドとパイン、勝負の最初からパインが位負けしている格好である。五分も右に左に無駄に駆けずり回ったであろうか。ついに我慢仕切れなくなり、パインは大上段に振りかぶってルキドに斬り付けて行った。ルキドは振り下ろされて来る剣尖を体を左にずらせて避け、そのまま両者は背中合わせの形で馳せ違った。「うっ。」 パインの頭の両側から血が流れている。左右の耳を斬り飛ばされていた。歯を食いしばってパインは振り返った。「うぎゃあっ。」正面に待ち受けるようにルキドが立っており、目に止まらぬ速さで剣を横に払った。今度はパインの鼻が削がれた。 顔中血だらけになったパインだった。それでも怯まず、両手で剣を握り締めてルキド目掛け突き掛かって行った。フワリと羽毛のような軽々とした動きでルキドはその突きを躱した。と同時に、自分の剣を上段から振り下ろした哀れ!、今度はパインの両腕が肘のところから斬り飛ばされ、刀を握ったまま三歩向こうの地べたに落ちた。パインは肘から先の無くなかった自分の両腕を呆然と見ている。虚脱した口元虚ろな目付きである。がっくりと両膝をついた。「ちきしょうおおお、殺せ、殺せえ。」喚いた。声が半ば裏返っていた。喚きたくもなるだろう、こんな目に遭わされた日には。ルキドは残忍な笑みを浮かべて、パインの様をさも滑稽な生き物でも見るように眺めながら、前に回って剣を横に振るった。